本書では、身近なスポーツであるサッカーを題材に、突出したビジネス上の経験が無くても、ビジネスの基本を理解し、コーチングする方法や、リーダーになる方法を通してプロのビジネスプレーヤーになることをわかりやすくお伝えします。
本書に書かれているのは、ずっと「サッカーバカ」で生きてきた私が、無理なく実践できたやり方です。あなたにもきっと実践できます。

私の経験上、リーダーは個人の能力や適正を見て、部下の適材適所を考えています。これはサッカーの「ポジション決め」と同じです。最も結果を出せる「チーム運営= フォーメーション」を考えて、メンバーを育成するわけです。
当然、円滑に運営しようと思えば思うほど、意思疎通が必要になります。その際に欠かせないのが、「コミュニケーション能力」です。
あとでくわしくお話ししますが、サッカー選手は高いコミュニケーション能力を持っています。局面が流動的に動いているからこそ、言葉やジェスチャーを超えたところでも、仲間の意志をくみ取らなければいけないからですね。

自分に与えられたポジションで、どのように振る舞えばいいのか?
予想外の局面では、どのように対処できるのか?
メンバーがそうしたことを考えながら、最適な行動ができるようになれば、チームはすばらしい結果を残せます。そうした判断ができるように、日ごろから心がけておくこと、習慣づけておくことが、プロのビジネスプレーヤーというものです。

サラリーマン時代の私は、一度も組織のメンバーをもった経験はありませんでしたし、エリートとはほど遠かったものです。
ですが、学生時代にサッカー流の組織論を身につけたことで、様々なプロジェクトを動かすことができています。

例えば、バリ島をメインとした、リゾートや不動産開発事業で、海外情報の提供を軸に、海外を活用した新価値のライフスタイルや海外事業の支援を行う事業や、地元でのフットサル事業にて、コートの運営や、スクールの運営を行いつつ、海外での展開や、グローバルなサッカービジネスで通用する人材を育成するアカデミー事業もその一つです。
実はフットサル事業の会社「VIDA」は、私を変えてくれたサッカーへの恩返しのつもりで、勢いだけでスタートしました。
当時、富山にはフットサル場がなかったからです。ところが、こちらのビジネスも紆余曲折があったものの想像以上に順調に進み、しっかりと利益を生み出せるレベルまで成長しました。
サッカーとビジネスの不思議な関係 / F.B.A
サッカーとビジネスの不思議な関係 / F.B.A 第2章 チームの持ち味とリーダーの思想の不思議な関係
規律重視のトルシエ監督、クリエイティブなジーコ監督、対話重視の岡田監督


日本代表を応援したことがなくても、ニュースでとりあげらることが多いサッカーワールドカップ。
日本代表が本当の意味において世界で活躍しだしたのは、1990 年代からです。

初出場は1998 年のフランスワールドカップ。私は大学を卒業し、ちょうど社会人1 年目でした。
当時の代表監督は岡田監督。加茂監督が更迭され、コーチからの繰上げで監督となるも本大会出場を決めた大会です。

2002 年の日韓共催ワールドカップ。トルシエジャパンは開催国ということで、予選の成績に関わらず、本選出場が決まっていましたが、見事決勝トーナメントに進出。

2006 年のドイツワールドカップは、名選手として日本でも有名だったジーコ監督が率いての戦いとなりました。
そして記憶にも新しい2010 年の南アフリカワールドカップ。当初は名将オシムが監督に任命されたのですが、病気により途中で倒れるアクシデントがありました。そこで白羽の矢がたったのが、またしても岡田監督。バッシングもありましたが、本選直前にチームをまとまとめあげ、快進撃を続けました。

それぞれ、岡田監督から始まり、トルシエ監督、ジーコ監督、そしてまた岡田監督となったわけですが、日本代表のサッカーのスタイルは監督の考え方や哲学で大きく変わります。実はチームというものを読み解くときに、メンバーに対して、リーダーはどう接するか、そして何をテーマにしてチームを育成していくかということが、この日本代表のチームから読み取ることができるのです。

98年「指導」の岡田監督、02 年「規律」のトルシエ監督、06 年「創造性」のジーコ監督、そして10 年「主体性」の岡田監督へと、まるである組織の成長を実感させるかのようなチーム育成の考え方がそこにはあったのです。
サッカーとビジネスの不思議な関係 / F.B.A

Copyright(c) 2016 FBA. All Rights Reserved.